入金だけで売上を計上してよい?現金主義の特例を確認
事業の売上を入金した年だけに計上する方法は、誰でも自由に選べるわけではありません。現金主義による所得計算の特例の対象かを確認します。
この教材の論点:事業の収入と入金の記録
年末の請求代金がまだ入金されず、通帳に載る分だけを売上にしたいと思った。通常の収入計上とは別に、現金主義の特例を使える青色申告者の条件と届出を調べる必要があります。
原則は入金の有無だけで決めない
売上を入金した年にまとめて計上する方法を、個人事業主が自由に選べるわけではありません。原則は収入すべき権利が確定した時点の計上です。青色申告者が現金主義による所得計算の特例を使うには、規模の要件と届出を確認します。
通常の所得計算では、年末までに代金が入っていなくても、収入すべき権利が確定した金額を収入として確認します。請求書をまだ発行していないことも、それだけで収入から除く理由にはなりません。取引の内容、契約、納品や役務提供の状況を踏まえて判断します。
現金主義の特例は、一定の条件を満たす人が、収入や費用を現金の出入りに基づいて計算する方法を選ぶものです。記帳が簡単だから全員が任意に採用できる、あるいは通帳の動きを入力していれば自動的に適用される、という制度ではありません。
青色申告者の規模と届出
個人の不動産所得・事業所得についてこの特例を選択する青色申告者は、小規模事業者の要件を確認します。前々年の不動産所得と事業所得の合計額が300万円以下であること等が関係し、この判定における青色事業専従者給与等の扱いも公式の手続案内で確認します。単なる前々年の売上300万円以下という意味ではありません。
届出は原則として適用を受けようとする年の3月15日までです。その年の1月16日以後に新たに開業した場合は開業日から2か月以内という扱いがあり、期限が土日祝日等に当たる場合の翌日への扱いも確認します。届出の控えと受付記録を残し、どの年から使っているかを説明できるようにしましょう。
青色申告特別控除との関係
| 確認する制度 | 現金主義との関係 |
|---|---|
| 55万円・65万円の青色申告特別控除 | 現金主義の特例を選ぶと受けられない |
| 10万円控除 | 所得やその他の条件の範囲で確認 |
| 消費税の計算 | 所得税の選択と同じとは限らず別途確認 |
電子申告をすれば現金主義のまま65万円控除も受けられる、とは考えません。記帳方法を選ぶときは、手間だけでなく所得計算や控除への影響を確認します。青色申告特別控除の条件も参照してください。
記録が不要になるわけではない
現金主義でも、入金の中身が売上なのか、借入金なのか、自分のお金を移しただけなのかを区分する必要があります。支払いも、生活費、借入元本の返済、資産取得等をすべて経費にすることはできません。設備の減価償却や在庫等、通常の費用と異なる項目も、その制度に従って確認します。
前年までの未収金や未払金がある状態で方法を変える場合には、同じ収入・費用を二度計上したり、逆に漏らしたりしない確認が必要です。業務に係る雑所得の小規模な人の現金主義の取扱いとは、対象者や手続きも異なるため、事業所得・雑所得と現在の選択状況を先に確認します。売上と入金の違いも読んで、資金移動を正しく分けましょう。
現金収支の中身まで省略しない
現金で受け取った金額が10万円であっても、前受金、売上、借入金、事業主からの資金等では内容が異なります。特例を使うことを、すべての入金を売上、すべての出金を経費へ変える仕組みと考えないようにします。契約や相手先の記録は引き続き必要です。
特例の開始・取りやめを考える場合には、前年末と当年末の未収・未払、前受・前払等の記録も整理します。切替えに際して、すでに計上済みの売上を入金時にもう一度加えるなどの誤りを避けるためです。選んでいる方法と適用開始年を明確にし、部分的に原則と現金主義を混ぜないようにしましょう。
根拠とした公式資料
- No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得) ↗国税庁 · 確認日 2026-10-30
- No.2072 青色申告特別控除 ↗国税庁 · 確認日 2026-10-30
- No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度 ↗国税庁 · 確認日 2026-10-30
- No.2200 収入金額とその計算 ↗国税庁 · 確認日 2026-10-27
- A1-12 現金主義による所得計算の特例を受けるための手続 ↗国税庁 · 確認日 2026-10-28
税金の制度を調べる際の参考資料や学習用としてご利用ください。適用条件や手続きは、対象年の公式資料・所管の窓口で確認してください。