税込1万円未満の少額特例|対象事業者・期間・帳簿の条件
インボイス制度の少額特例は、一定規模以下の事業者について、税込1万円未満の一定の課税仕入れを、所定の帳簿の保存で仕入税額控除できる制度です。単に1万円未満なら、誰でも請求書を保存しなくてよいという説明ではありません。対象事業者・取引金額・適用期間を合わせて確認します。
この教材の論点:仕入税額控除と保存要件
2026年分の制度を扱います。施行時期や対象条件を本文と公式資料でご確認ください。
少額の備品を買い、「1万円未満ならインボイスはいらない」と聞いた。自分が少額特例の対象事業者かを先に調べ、一回の取引金額と対象期間、帳簿に残す事項を照合します。
買手の規模を先に確認する
少額特例の対象規模は、基準期間の課税売上高が1億円以下、または特定期間の課税売上高が5,000万円以下であることです。前者と後者は「両方」ではなく、どちらかの条件を確認します。現在の月商、利益、仕入先の売上規模を使う判定ではありません。基準期間や特定期間に該当する期間を特定してから数字を集めましょう。
対象期間は2023年10月1日から2029年9月30日までの課税仕入れです。買手が対象規模でも、期間外の取引へそのまま使えるわけではありません。インボイスの2割・3割特例とは、目的も規模の条件も異なります。
税込1万円未満の単位
| 購入の例 | 少額の判定で考えること |
|---|---|
| 8,800円の一回の取引 | 税込金額と対象取引を確認 |
| 複数品目を一度に購入 | 品目ごとに勝手に分割しない |
| ちょうど10,000円の取引 | 1万円未満という範囲に入らない |
販売者が作る明細で一品ずつ価格が分かっても、取引の単位を無視して各行を別々の購入とするとは限りません。単なる消費税抜き価格が1万円未満という理由でも判断できません。値引き、まとめ買い、複数のサービス等がある場合は、実際にどの取引の対価かを確認します。
帳簿へ記録すること
特例は何も記録しなくてよい制度ではありません。相手先、課税仕入れの日、取引内容、支払対価の額等を帳簿へ記録します。業務に使う購入かどうかも確認します。少額特例を使う旨を帳簿へ記載する必要はないとされますが、経過措置の7割控除等では別の記載要件が関係するため、制度を混ぜないことが大切です。
少額特例は、仕入先が登録事業者か未登録かにかかわらず適用できる場合があります。しかし、売手が適格請求書発行事業者で、交付を求められた際のインボイス交付義務までなくす制度ではありません。
電子保存や必要経費とは別
少額特例を使えるためにインボイス保存が不要となっても、電子取引データの保存や所得税の必要経費を説明する資料まで、一律に不要になるわけではありません。どの税目の何の条件を省略できる制度かを明確にしましょう。経費と仕入税額控除も参照してください。
税込3万円未満の一定の公共交通機関の特例や、未登録事業者からの仕入れに係る経過措置は別制度です。一つの取引へ都合のよい割合を重ねて使うのではなく、適用する制度と要件を選んで記録します。交通費の特例や2026年10月の変更で違いを確認しましょう。
基準期間と特定期間の資料をそろえる
個人事業者と法人では、基準期間や特定期間に該当する期間を確認する必要があります。今年の売上帳だけでは過去の規模要件を説明できない場合があるため、該当期間の課税売上高を確認できる申告・帳簿等をそろえます。「小規模な会社」という日常的な呼び方と、この制度の対象判定は同じではありません。
一つの取引が特例対象か迷う場合は、金額を先に細分化せず、契約・注文・納品・請求の関係を確認します。定期的なサービスで一括請求される場合も、一回の取引が何かを確かめます。金額条件を満たしたかと、業務に必要な課税仕入れかを順に判断しましょう。
根拠とした公式資料
- No.6496 仕入税額控除をするための帳簿及び請求書等の保存 ↗国税庁 · 確認日 2026-10-27
- インボイス制度について ↗国税庁 · 確認日 2026-10-27
- No.6498 適格請求書等保存方式(インボイス制度) ↗国税庁 · 確認日 2026-10-27
- 令和8年度税制改正特集 ↗国税庁 · 確認日 2026-10-27
- 少額特例(一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置の概要)の概要|国税庁 ↗国税庁 · 確認日 2026-10-28
税金の制度を調べる際の参考資料や学習用としてご利用ください。適用条件や手続きは、対象年の公式資料・所管の窓口で確認してください。