医療費控除の基本|対象医療費・補填金・支払者を整理する
領収書を集めるだけでなく、対象範囲と補填を分けて集計し、申告へつなぐ流れを学びます。
この教材の論点:医療費控除
医療費控除は、医療費の支払額そのものが戻る制度ではありません。対象になる支払と補填額を整理し、所得に応じた基準額を差し引いて所得控除額を求めます。ここでは通常の医療費控除を扱い、セルフメディケーション税制とは分けて計算します。
計算の前に支払と対象を確認する
対象は、本人または生計を一にする配偶者その他の親族のために、その年に実際に支払った医療費です。12月の治療費でも支払が翌年なら、原則として実際に支払った年で扱います。病院からの請求日だけで年を決めません。治療を受けた人と、実際に支払った人も分けて資料に記録します。
支出が医療に関係するからといって、すべてを無条件に足すことはできません。治療の目的、支出の内容、交通費などの必要性を確認し、控除対象と確認できた費用だけを集めます。演習では計算に集中できるよう、各支払が控除対象かどうかを設問に示します。実際の判断は国税庁の対象範囲の案内で確認してください。
補填金は対応する医療費から差し引く
入院給付金や高額療養費など、医療費を補填する金額がある場合には、対応する医療費を限度として差し引きます。ある治療について受けた補填金が支払を上回っても、余りを別の治療費から引きません。
架空例として、入院費10万円に対して給付12万円を受け、別の歯科治療に18万円を支払ったとします。いずれも対象医療費と確認済みで、歯科治療には補填がない条件です。入院費は10万円まで補填され、残る対象額は0円です。歯科治療の18万円はそのまま残ります。支払28万円から給付12万円をまとめて引いた16万円で計算すると、補填の超過2万円を別の費用から引く誤りになります。
所得に応じた基準額を引く
基準額は原則10万円ですが、総所得金額等が200万円未満ならその5%です。「医療費は10万円を超えなければ関係ない」と一律に判断しないようにします。医療費控除額は最高200万円で、計算結果が負なら0円です。
| 架空の条件 | 基準額 | 控除額 |
|---|---|---|
| 対象支払30万円、対応補填5万円、総所得金額等300万円 | 10万円 | 15万円 |
| 対象支払12万円、補填なし、総所得金額等150万円 | 7万5,000円 | 4万5,000円 |
| 対象支払7万円、補填なし、総所得金額等300万円 | 10万円 | 0円 |
上の入院と歯科の例で総所得金額等が300万円なら、18万円−10万円=8万円が控除額です。支払額、補填後の額、基準額、所得控除額を別々に書くと、どこで違いが生じたかを確認できます。
控除額と還付額を分ける
控除15万円は、所得から差し引く金額です。税額から15万円を直接引く計算ではありません。控除後の課税所得で所得税等を計算し直し、既に納めた税額と比べて納付・還付を求めます。源泉徴収済額が0円の場合などは、控除があっても所得税の還付が生じるとは限りません。
医療費控除の金額入力で、補填の対応、所得200万円未満の基準額、上限を確認できます。架空の申告練習では、その控除を年間税額の計算へつなげます。間違えた条件と計算段階をノートに残して復習しましょう。
給与所得税の計算と申告の練習
2026年分の給与所得税を途中式付きで計算し、架空の書類で確定申告を練習できます。
根拠とした公式資料
- No.2260 所得税の税率 ↗国税庁 · 確認日 2026-10-27
- No.1199 基礎控除 ↗国税庁 · 確認日 2026-10-27
- No.2030 還付申告 ↗国税庁 · 確認日 2026-10-27
- No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除) ↗国税庁 · 確認日 2026-10-27
- No.1122 医療費控除の対象となる医療費 ↗国税庁 · 確認日 2026-10-27
- No.1119 医療費控除に関する手続について ↗国税庁 · 確認日 2026-10-27
- 国税庁:2026年分の給与所得金額等の計算表 ↗国税庁 · 確認日 2026-10-28
- 国税庁:確定申告の申告納税額・端数処理 ↗国税庁 · 確認日 2026-10-28
税金の制度を調べる際の参考資料や学習用としてご利用ください。適用条件や手続きは、対象年の公式資料・所管の窓口で確認してください。