販売用の商品を自分で使ったら|家事消費と収入の記録
売るために仕入れた商品を生活用に回すと、売上代金の入金がなくても収入の計算が必要になる場合があります。在庫の減少と、私用へ移した商品の価額を分けて記録します。
この教材の論点:事業の収入と入金の記録
販売用に仕入れた商品を、自分や家族のために使った。代金を受け取っていなくても在庫を減らすだけでは終わらず、家事消費した数量と収入へ含める価額の記録が必要です。
私物の購入と、販売用在庫の私用化は違う
個人事業で販売するために持っていた商品を、事業主や家族の生活のために使った場合は、単に在庫を減らして終わりにはできません。所得税では、商品を自家用に消費した場合などに販売があったものとして扱い、原則として通常の販売価額を収入に含めます。現金を受け取ったかどうかとは別の判断です。
最初から生活のために買った食品や衣類は、事業の必要経費や在庫へ入れないことが出発点です。一方、販売用の商品として仕入れ、帳簿へ記録していたものを後から生活用に使った場合は、事業から家計へ出した事実を記録します。後者を「売れなかった」とだけ処理すると、商品の動きが説明できなくなります。
事業用カードで私物を買った場合は、最初から私用の支払いを除く話です。今回のように販売用の商品を引き出す場合とは分けて考えましょう。
数量と価額を同じ取引へ結び付ける
記録するのは、日付、商品名、数量、生活用に回した理由、採用した価額です。原則の価額を考える際は、普段の販売価格を示す価格表や販売履歴も手掛かりになります。仕入原価と販売価額は同じ数字ではありません。価額に関する特別な取扱いを使う場合は、その条件を別途確認します。
雑貨店の商品を家庭で使う例
通常2,000円で販売している商品を1個、自宅の生活用品として使った架空の例を考えます。通常の販売価額を用いる原則で説明すれば、2,000円を収入側で扱い、在庫が1個減ったことも記録します。入金がないから収入は零、という整理ではありません。消費税や特例の計算は、この単純な例から分けて確認します。
| 残す記録 | この例の内容 |
|---|---|
| 商品の移動 | 販売用から家庭用へ1個 |
| 価額の根拠 | 通常の販売価格2,000円 |
| 資金の動き | 顧客からの入金はない |
棚卸表と合わなくなったとき
実物が帳簿より少ない場合、すべてを売上や損失と推測しません。販売済み、家事消費、破損、返品など原因を分けます。売れ残りと売上原価の計算へ進む前に、私用へ出した数量が記録されているかを確かめます。年末だけまとめて推測するより、使った日にメモを残す方が正確です。
事業で使う見本なども用途を確認する
撮影や展示、試供など事業上の使用と、家庭での消費は同じではありません。名称だけで一律に家事消費へ分類せず、誰が、何の目的で使ったかを明確にします。商品を家族へ渡したときも、事業との関係や贈与に関する収入の取扱いを確認し、在庫の払出しだけで所得の計算を終えないようにします。
根拠とした公式資料
- No.2210 必要経費の知識 ↗国税庁 · 確認日 2026-10-30
- No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得) ↗国税庁 · 確認日 2026-10-30
- No.2200 収入金額とその計算 ↗国税庁 · 確認日 2026-10-27
- 令和7年分 青色申告の決算の手引き(一般用)1頁:棚卸表・売上原価 ↗国税庁 · 確認日 2026-10-30
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