未払い給与を後から受け取った場合の源泉徴収
未払い給与の所得年分と、実際に源泉徴収する時点を分けます。一部払い、年またぎ、給与規程の遡及改訂を具体例で整理します。
この教材の論点:源泉徴収
12月の支給日に振り込まれなかった給与を、翌年2月に受け取った。給与の年分と実際に源泉徴収する時点を分け、本来の支給日と未払いの記録から調べます。
所得の年分は本来の支給日から確認する
給与が遅れて振り込まれたときは、「いつの年の給与になるか」と「いつ税金を差し引くか」を分けて確認します。振込日が翌年になっただけで、すべて翌年分の給与に移るわけではありません。ここでは会社から支払われる通常の給与を扱います。
契約や慣習で支給日が決まっている給与は、その支給日が収入の確定する日です。たとえば2025年12月25日支給の給与30万円が未払いとなり、2026年2月に支払われても、原則として2025年分の給与です。2026年に受け取ったからといって、2026年分の年末調整へもう一度足しません。
これに対し、通常の給与規程で12月勤務分を翌年1月25日に支払う契約なら、1月25日の属する翌年分です。遅配なのか、もともとの翌月払いなのかで結論が変わります。12月勤務・1月支給の給与と区別してください。
源泉徴収は実際の支払いの際に行う
国税庁No.2526では、通常の未払い給与は原則として実際に支払う際に源泉徴収するとしています。支給日が来ただけで、まだ払われていない給与から税金が実際に差し引かれたことにはなりません。
| 確認する事実 | 税務上見るもの |
|---|---|
| 契約上の支給日 | 給与がどの年分か |
| 実際に支払われた日と金額 | 源泉徴収する時点と対象額 |
| 年末時点の未払額 | 年末調整に含める給与と対応税額 |
一部だけ払う場合は、その月の支払うべき給与全体から税額表で税額を求め、実際の支払額の割合を掛けて徴収するのが基本です。実際に支払った少額だけを一か月分の給与として税額表へ当てはめる処理とは異なります。
一部払いの仕組みを数字で追う
支払うべき給与が30万円で、その全額に対応する源泉税額を仮に6,000円とします。実際の支払いが12万円なら、割合は12万円÷30万円=40%、対応する源泉税額は6,000円×40%=2,400円です。6,000円は仕組みを示す仮定で、実際の税額表から算出した額ではありません。
年末調整の時点で未払い給与が残っているときは、支払いが確定した未払額と、それに対応する税額も年間の集計に含めて計算します。年間の計算上含まれることと、実際に徴収が済んでいることを混同せず、源泉徴収票や会社の説明を確認します。
後払いの理由が給与規程の改訂なら別の年分もある
本来払うべき残業代の計算漏れは、本来の支給日の年分に分けます。一方、給与規程を過去へ遡って改訂した結果の差額は、差額の支給日が決まっていればその日、決まっていなければ改訂の効力が生じた日の年分です。詳しくは遡及支給の年分で比較できます。
勤務先には、対象月、本来の支給日、実払日、未払額、過年度の源泉徴収票の訂正有無を確認します。役員賞与には一年経過時の特例があり、倒産時の未払賃金立替払制度による支払いも通常の遅配給与と同じ扱いとは限りません。受け取る制度や名目まで確かめてから申告へ進みましょう。
根拠とした公式資料
- No.2668 年末調整の対象となる給与 ↗国税庁 · 確認日 2026-10-27
- No.2668 年末調整の対象となる給与(給与の支払日が翌月の場合の年末調整) ↗国税庁 · 確認日 2026-10-28
- No.2509 給与所得の収入金額の収入すべき時期|国税庁 ↗国税庁 · 確認日 2026-10-28
- No.2509 給与所得の収入金額の収入すべき時期|国税庁 ↗国税庁 · 確認日 2026-10-28
- No.2526 給与が一部未払の場合の源泉徴収|国税庁 ↗国税庁 · 確認日 2026-10-28
税金の制度を調べる際の参考資料や学習用としてご利用ください。適用条件や手続きは、対象年の公式資料・所管の窓口で確認してください。